福井女子中学生殺害 再審認めず

  • 11 年前
福井女子中学生殺害 再審認めず
3月6日 13時3分

27年前、福井市で女子中学生が殺害された事件を巡り、名古屋高等裁判所は、殺人の罪で服役した男性に、再審・裁判のやり直しを認めた高裁金沢支部の判断を取り消し、「有罪の根拠となった関係者の証言は信用できる」などとして、一転して再審を認めない決定を出しました。

この事件は、昭和61年に福井市で中学3年の女子生徒が自宅で刃物で刺されるなどして殺害されたものです。殺人の罪で懲役7年の刑が確定した前川彰司さん(47)が「関係者のうその証言で犯人にされた」として、服役後に再審・裁判のやり直しを求めました。

おととし、名古屋高裁金沢支部は「事件後、服などに血が付いていたという関係者の証言には疑問がある」として再審を認めましたが、検察が異議を申し立てたため、名古屋高裁の本庁で改めて審理されていました。

6日の決定で、名古屋高等裁判所の志田洋裁判長は「複数の関係者の証言は大筋で一致していて、信用できる。捜査機関から事件の筋書きが伝えられたうえでの証言だったとしても、不当な捜査とは言えない」と指摘しました。

さらに、「『服に血が付いていたのに事件後に乗った車から血液反応が出なかったのは不自然だ』という弁護側の主張は前提となる再現実験の条件が違うので、有罪の判断には影響しない」として再審を認めた金沢支部の判断を取り消しました。

決定を受けて、弁護団は最高裁判所に特別抗告する方針を明らかにしました。

.前川さん「ことば見当たらない」

再審を認めない決定が出たことについて前川彰司さんは「予測していなかったので、ことばが見当たらないです。こんな証拠で検察の異議申し立てが認められるのでしょうか。裁判所とはこんなものなのでしょうか。ちょっとあぜんとします」と話していました。

弁護団「極めて残念」

弁護団の小島峰雄団長は「検察は新たな証拠の提出や主張はなかった一方、弁護団は十分すぎる反論をしてきたので、きょうの決定は夢にも思わず、極めて残念です。最高裁の良識を信じて直ちに特別抗告し、本日の決定の取り消しに全力を尽くしたい」と話し、最高裁判所に特別抗告することを明らかにしました。

名古屋高検「適切な判断と理解」

決定を受けて名古屋高等検察庁は「詳細はこれから検討するが、検察官の異議申し立てを認めた適切な判断が示されたと理解している」とするコメントを出しました。