ヘイトクライム=憎悪犯罪<風をよむ>2016年7月30日

  • 8 年前
<風をよむ>~“ヘイトクライム・憎悪犯罪”~
相模原で障害者19人が殺害された事件、容疑者の言動には今世の中を覆う空気が映し出されていた。
相模原市の障害者施設・津久井やまゆり園で火曜日未明、入所者19人が死亡、26人が重軽傷を負った事件。
逮捕された容疑者は以前から障害者の殺害を予告するかのような発言を繰り返していた。
逮捕後の取り調べにおいても容疑者は「障害者がいなくなればいいと思った」などと供述。
今年2月の措置入院中には医師に「ヒトラーの思想が降りてきた」と語り、障害者を生きる価値がない命と決めつけ、約20万人殺害したナチスドイツの影響をうかがわせる発言を行っていた。
今回の事件で繰り返された障害者への暴言、こうしたものを特殊なものとして片付けられない状況が現在の社会にはみられる。

新潟青陵大学・碓井真史教授は
「私たちは長い時間をかけて差別はいけないと作り上げてきた、今回の場合は容疑者は妄想的なものがあったと思うが、その妄想的なものに世の中の雰囲気が影響を与えている、他の価値観の人間を認めない、自分と違うものは力で叩き潰せばいいのだ、そんな思いが世界中に広がって偏見、差別の嵐が吹き荒れている」と述べた。

寺島実郎さんは
「私は、ジハード型殺人事件と言った。自分の心の内なる正義を、その正義のために本人はやっているつもりで、この犯人にとって正義とは、役立たずの人間は抹殺した方がいいという正義であった、教育者は何とかして世の中に役立つ人間を作りたいという思いで教育しているが役立たずの人間は生きていちゃいけないのですかという質問を受けたことがある、自分が世の中の役に立ちたいという思いと役立たずの人間は生きていてはいけないと言うロジックをつなげたらとんでもないことになる、大事なことは、殺されてしまった人の家族の思いを考えた時に、人間は様々なわずらわしさ、悲しみを背負いながら生きていることを気づかないといけない」

関西学院大学客員教授・大崎麻子さんは
「不寛容の社会がいけないというのは簡単、それを言う人が自分の中に差別や偏見はないと思いこむことが非常に危険」

ハリス鈴木絵美さんは
「なんでまたこういうことが起きてしまったのか、今の時代、私たち一人一人が物凄く発信力を持っていることも事実としてある、私たちは選択できるということを常に意識しながら自分の力をもう少し認めて立ち向かう勇気が必要ではないか」と述べた。

岸井成格さんは
「最近の世界の動きをVTRで見て本当に非理性的で不寛容の時代が始まった実感が非常に強い、この根底にあるのは偏見と差別、日本にとっても他人ごとではなく本当に迫っている、日本はどちらかというと鎖国国家といわれるくらいのところがある、なかなか受け入れないところ、これから難民とか移民を受け入れるように求められたり、少子高齢人口減少という社会構造にどんどんかわっていくと外国人労働者をどんどん入れざるをえなくなってくる、その時に日本人が今まで通り寛容でいられるか物凄く心配、その備えを教育を含めてやっていく必要があると非常に強く感じる」と述べた。

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